GMKtec EVO-X5 Pro は、GMKtec初の Ryzen AI Max+ PRO 495搭載ミニPC です。9月5日にベルリンで開催されたIFA 2026で、AMDとともにステージで発表されました。GMKtec EVO-X3の後継となる「Gorgon Halo」世代で、Zen 5の16コアと40 CUのRadeonグラフィックスは同じですが、最大 192 GBのLPDDR5X-8533ユニファイドメモリ を搭載し、そのうち最大 160 GBをVRAMとして使用可能 です。さらに 300BパラメーターのLLMを完全オフラインで実行できる ことを目玉としてうたっています。発売は2026年10月予定で、価格はまだ発表されていません。
本記事は発表レポートであり、レビューではありません。実機には触れておらず、GMKtecも完全なスペックシートを公開していません。
GMKtec EVO-X5 Proとは
GMKtecはこの製品を「Agentic PC(エージェンティックPC)」や「デスクトップAIスーパーコンピューター」と呼んでいます。これは、大規模言語モデルを単体GPUではなくユニファイドメモリ上に保持するコンパクトなワークステーションを指すマーケティング用語です。筐体はCNC加工のオールメタル製タワーで、前面にスマートファンクションキーを備えます。冷却は ベイパーチャンバーとファン3基 で、電源プロファイルを3種類から選べます。GMKtecによると、このプラットフォームは24時間365日の稼働で検証済みで、本機は「Best of IFA 2026」のイノベーション賞を2つ(PCWELTとSmartZone)受賞しました。
名称についての補足。 6月、VideoCardzとLiliputingは、192 GBのPRO 495がEVO-X3のバリエーションとして登場すると報じていました。実際にIFAに登場したのは、新たにデザインされた縦型筐体のEVO-X5 Proというブランド名の製品で、「EVO-X3 PRO 495」という名称では出荷されませんでした。また、128 GBの無印「EVO-X5」も8月15日にGeekbenchのエントリーで確認されていますが、GMKtecが正式に発表しているのは今のところProのみです。
確定している情報:EVO-X5 Proのスペックとアーキテクチャ
GMKtecのIFAでの発表をもとに、NotebookCheck、Gizmochina、VideoCardzの情報と照合しました。
- CPU: AMD Ryzen AI Max+ PRO 495、Zen 5 16コア / 32スレッド、最大5.2 GHz
- GPU: Radeon 8065S、RDNA 3.5、40コンピュートユニット、ハードウェアレイトレーシング
- NPU: XDNA 2、最大55 TOPS(AMDによるとチップ全体で131 TOPS)
- メモリ: 最大192 GBのLPDDR5X-8533ユニファイドメモリ、約 273 GB/s
- VRAM: メモリプールのうち最大160 GBをiGPUに割り当て可能
- ストレージ: 最大24 TB(スロット数とPCIe世代は非公開)
- ポート: 前面USB4 × 2、背面 USB4 V2 × 2、8K映像出力、AMD DASH専用RJ45
- 拡張性: USB4経由のeGPU、複数台を連結するクラスター構成(NotebookCheckによると最大4台)
- セキュリティと管理: 独立したdTPM 2.0、AMD DASHのアウトオブバンド管理(リモート電源操作、KVM、BIOS設定、再イメージング、ディスク消去)
- 発売: Gizmochinaによると2026年10月、価格は未発表
DASHとdTPMを見れば、本機が誰を狙っているかがわかります。GMKtecの発表資料は、政府、医療、金融、法務分野の購入者を挙げています。つまり、モデルをオンプレミスで運用する必要があり、OSが起動していない状態でも多数のマシンを管理する手段を求めるIT部門です。
Ryzen AI Max+ 395版からの改良点
EVO-X3(およびその前のEVO-X2)は、Ryzen AI Max+ 395「Strix Halo」を採用していました。PRO 495はそのシリコンのリフレッシュ版であり、新しいアーキテクチャではありません。そのため、正直に表現するなら「世代的な飛躍」ではなく、「メモリ増量、わずかなクロック向上、エンタープライズ機能の追加」です。
| EVO-X3(Ryzen AI Max+ 395) | EVO-X5 Pro(Ryzen AI Max+ PRO 495) | |
|---|---|---|
| CPU | 16C/32T Zen 5、最大5.1 GHz | 16C/32T Zen 5、最大5.2 GHz |
| iGPU | Radeon 8060S、40 CU、最大2.9 GHz | Radeon 8065S、40 CU、最大3.0 GHz |
| NPU | XDNA 2、約50 TOPS(合計126 TOPS) | XDNA 2、55 TOPS(合計131 TOPS) |
| 最大メモリ | 128 GB LPDDR5X-8000 | 192 GB LPDDR5X-8533 |
| メモリ帯域 | 約256 GB/s | 約273 GB/s |
| 最大VRAM割り当て | 96 GB | 160 GB |
| 最大モデルの公称値 | 200B超クラス、量子化 | INT4で300Bクラス |
| eGPU接続 | OCuLink(PCIe 4.0 x4)+ USB4 | USB4 / USB4 V2、OCuLinkの記載なし |
| リモート管理 | なし | AMD DASH + dTPM 2.0 |
| 筐体 | フラットなコンソール型、140Wのパフォーマンスモード | 縦型タワー、ベイパーチャンバー、電力制限は非公開 |
重要なのは3行だけで、残りは補足にすぎません。
本当のアップグレードは192 GBと160 GBのVRAMです。 395の上限は128 GBで、Windowsではそのうち約96 GBをGPUに割り当てられます。両方の数値に64 GBが加わったことで、上限が「量子化でおよそ200B」から「INT4で300B」に引き上げられます。4ビットの300Bパラメーターモデルは、KVキャッシュを除いた重みだけで約150 GBになります。GMKtecが160 GBを繰り返し強調するのはそのためです。
帯域はほとんど変わっていません。 同じ256ビットバス上のLPDDR5X-8533は、LPDDR5X-8000に比べて6.7%の向上です。Dense型モデルの毎秒トークン数を決めるのは帯域です。この数値はNVIDIA DGX Sparkの約273 GB/sともほぼ同じです。より大きなモデルが載るようにはなりますが、速くはなりません。
少なくとも発表時点では、OCuLinkに代わってUSB4 V2が採用されています。 EVO-X3のOCuLinkポートは、プロンプト処理用に単体GPUを追加したい人にとって最大の魅力でした。GMKtecのEVO-X5 Proの資料では、eGPUとクラスタリング用としてUSB4とUSB4 V2のみが挙げられています。USB4 V2はスペック上は高速ですが、現時点では対応エンクロージャーが少なく、一方でOCuLinkドックは安価で選択肢も豊富です。スペックシートで明記されるまで、OCuLinkが削除されたとは断定しません。
GMKtec EVO-X5 Proは本当に300Bモデルをローカルで動かせるのか
メモリに載るかという意味では、載ります。実用的に使えるかは、モデル次第です。INT4の重み150 GBを読み込めるかは容量の問題であり、160 GBあればその条件は満たせます。一方、トークン生成は帯域の問題で、273 GB/sではDense型の300Bモデルは毎秒1桁前半のトークン数にとどまります。これはデモであって、実務のワークフローにはなりません。NotebookCheckはブースで、Qwen系のモデルが毎秒「2桁台に十分入る」トークン数を出しているのを確認しました。これは、トークンごとにパラメーターの一部しか動作しないMixture-of-Experts(MoE)モデルと整合するペースです。この公称値は「300BクラスのMoEモデルは対話的に動作し、Dense型の300Bモデルは読み込める」と解釈し、購入を計画する前にllama.cppのベンチマーク結果が公開されるのを待つべきです。
まだわかっていないこと
- 価格。 GMKtecからの発表はありません。EVO-X3は128 GB/2 TBで$3,600で発売されましたが、192 GBのLPDDR5X-8533はさらに高価です。Minisforumは自社のPRO 495ワークステーションを7,000ユーロ超と予告しており、これが上限の目安になります。
- 正確な発売日と販売地域。 記録にある時期はGizmochinaの「2026年10月」だけです。
- 電力制限。 AMDはPRO 495を45Wから120Wの設定可能な範囲としています。EVO-X3はパフォーマンスモードで395を140Wで動作させていましたが、GMKtecはEVO-X5 Proの3つのプロファイルの内容を明らかにしていません。
- ストレージ構成。 「最大24 TB」からはM.2スロット3基が推測されますが、スロット数とPCIe世代は公開されていません。
- ネットワーク。 NotebookCheckはRJ45ポート2基を確認しており、そのうち1基は10GbEでした。GMKtecが認めているのはDASHポートのみです。Wi-Fi 7は搭載される可能性が高いものの、未確認です。
- OCuLink、メモリ容量の少ないモデル、寸法、重量、騒音。 いずれも公開されていません。
ミニPC購入者にとっての意味
EVO-X5 Proは、これから続く波の第1弾です。Chuwi、Acemagic、Colorfire、AOOSTAR、Minisforumはいずれも192 GBのRyzen AI Max+ PRO 495搭載機を披露しており、プラットフォームの移行についてはAMD Ryzen AI Max 400「Gorgon Halo」解説で取り上げました。GMKtecの製品を際立たせているのはエンタープライズ向けの機能です。アウトオブバンド管理や独立したTPMは、コンシューマー向けミニPCがこれまで手を付けてこなかったものであり、GMKtecが本機をRedditだけでなく企業の調達リストに載せたいと考えていることを示しています。
すでに128 GBのStrix Halo機を持っているなら、そのまま使い続けてください。495で増えるのは容量であって速度ではなく、160 GBのVRAMを必要とするモデルは、96 GBでもすでに遅かったモデルです。初めてローカルAI用のマシンを買うなら、EVO-X5 ProとEVO-X3のどちらを選ぶかは、およそ200Bパラメーターを超えるモデルが必要かどうかで決まります。必要でなければ、395搭載機は現在販売中で、これから値下がりしていくはずです。関連記事:GMKtec EVO-X5 Proの価格、Ryzen AI Max+ PRO 495は買う価値があるか。
EVO-X5 ProはEVO-X3を置き換えるのか
公式にはそうではありません。GMKtecは現在もEVO-X3を掲載しており、販売終了とはしていません。EVO-X3の発売後もEVO-X2が販売され続けたように、2機種は128 GBと192 GBのモデルとして併売されると見込まれます。
今後のスケジュールと価格の見通し
GMKtecは 2026年10月 の発売を予定しています。本記事の執筆時点で 価格は未発表 で、gmktec.comでの予約受付もありません。EVO-X3が128 GBで$3,600からだったことと、メモリの大幅増量を考えると、192 GB構成の発売価格が$4,000を超えても驚きではありません。これはリーク情報ではなく、市場に対する私たちの見立てです。
EVO-X5 Proは、入手でき次第レビューします。それまでは、EVO-X3の発表記事とEVO-X2レビューが、同じ系譜と、395における同じ帯域のトレードオフを扱っています。
情報源と注意事項
スペックは、GMKtecのIFA 2026公式発表とショー後のまとめをもとに、NotebookCheckの現地レポート、Gizmochina、Gizchina、VideoCardzと照合しています。395と495のチップの数値(5.1 GHz対5.2 GHz、iGPUの2.9 GHz対3.0 GHz、50 TOPS対55 TOPS、LPDDR5X-8000対8533)は、VideoCardzとLiliputingが伝えたAMDの公式仕様です。1点食い違いがあります。NotebookCheckのCPUデータベースではPRO 495がLPDDR5X-8000とされていますが、AMD、GMKtec、すべてのローンチパートナーは8533としています。本記事では8533と、そこから導かれる273 GB/sを採用しました。EVO-X3の数値は、7月にGMKtecの製品ページをもとに掲載したものです。性能、温度、騒音、価格は、製品の出荷まで未検証です。