Minisforum MS-S1 Max-P495とN5 Max-P495とは

Minisforum MS-S1 Max-P495 は、AMDの新しい Ryzen AI Max+ Pro 495 を搭載し、最大 192GBのLPDDR5X-8533ユニファイドメモリ を備えたコンパクトなAIワークステーションです。ベルリンで開催されたIFA 2026(9月4日から8日)で、もう1つのシステムである AI Agent NAS N5 Max-P495 とともに発表されました。こちらは同じチップとメモリ上限を、最大200TBのローカルストレージに対応するネットワークストレージ(NAS)に搭載したものです。

どちらも新設計ではなくリフレッシュ版です。MS-S1 Max-P495は、2025年後半に出荷されたRyzen AI Max+ 395搭載MS-S1 MaxのGorgon Halo版で、N5 Max-P495はN5 Max NASに同じ変更を加えたものです。筐体、ポート、320Wの内蔵電源、PCIeスロットはそのまま引き継がれます。変わるのはシリコン、そして何よりもメモリです。128GBではなく192GBとなり、最大160GBをGPUに割り当てられます。

どちらのマシンもまだ出荷されておらず、Minisforumは価格の予告を公開しただけで、価格そのものは出していません。以下では、確定している情報とそうでない情報を分けて整理します。

確定している情報:MS-S1 Max-P495のスペック

Minisforumのストアページとプレスリリースを、Tom’s HardwareとHotHardwareの情報と照合したところ、以下の点で一致しています。

  • CPU: AMD Ryzen AI Max+ Pro 495、Zen 5 16コア / 32スレッド、ベース3.1GHz、ブースト最大5.2GHz
  • GPU: Radeon 8065S、RDNA 3.5の40コンピュートユニット、最大3.0GHz
  • NPU: XDNA 2、最大 55 TOPS。MinisforumはCPU + GPU + NPUの合計で 131 TOPS としています
  • メモリ: 256ビットバス上の最大192GB LPDDR5X-8533、オンボード実装。最大 160GBをVRAMとして割り当て可能
  • ストレージ: M.2 2280 NVMeスロット2基(PCIe 4.0 x4が1基、PCIe 4.0 x1が1基)、各最大8TB、RAID 0/1
  • 拡張性: フルレングスのPCIe x16スロット1基、電気的には PCIe 4.0 x4
  • 背面I/O: 10GbE × 2、USB4 V2(80Gbps)× 2、USB 3.2 Gen 2 × 2、USB 2.0 × 2、HDMI 2.1 FRL
  • 前面I/O: USB4(40Gbps)× 2、USB 3.2 Gen 2 × 1、3.5mmオーディオ
  • ワイヤレス: Wi-Fi 7(MediaTek MT7925)、Bluetooth 5.4
  • 電源: 内蔵320W電源。PPTは持続120W / ピーク160W。パフォーマンスプロファイルは120W / 95W / 60W
  • サイズと重量: 222.1 x 206.3 x 77.1mm、2.8kg。Windows 11 Proプリインストール

Minisforumは395モデルと同じラック運用のアピールも繰り返しています。2Uトレイに4台が収まり、クラスター向けに連動電源オンに対応します。

N5 Max-P495 AI NASはどうか

NASについては、プレスリリースの情報はさらに少なめです。確定しているのは、同じRyzen AI Max+ Pro 495、最大192GBのメモリ(うち160GBをグラフィックメモリとして使用可能)、131 TOPS、最大200TBのローカルストレージです。Minisforumは本機を「データ、モデル、ナレッジ、長時間稼働するAIワークロードのための集中型バックエンド」と呼び、OpenClaw をプリインストールして出荷します。これにより、OpenClawやHermes Agentなどのエージェントが、利用するデータと同じストレージ機上で動作します。200TBという数値は現行の395搭載N5 Max(3.5インチSATAベイ5基とM.2スロット5基)と一致するため、ベイ構成はほぼ確実に引き継がれますが、P495版NASの完全なスペックシートはまだ存在しません。

Ryzen AI Max+ 395版からの改良点

筐体は変わらないため、アップグレードの根拠はチップとメモリにかかっています。両世代のMinisforumのスペックシートと、ベンチマーク項目については同社自身の比較スライドから、差分をまとめました。

  • メモリ容量: 192GB対128GB
  • メモリ速度: 8533 MT/s対8000 MT/s(同じ256ビットバスで帯域はおよそ7%増)
  • GPUに割り当て可能な最大メモリ: 160GB対96GB
  • CPUブーストクロック: 5.2GHz対5.1GHz
  • GPU: Radeon 8065S(3.0GHz)対Radeon 8060S(2.9GHz)、CUは同じ40基
  • NPU: 55 TOPS対50 TOPS。合計値は131対126 TOPS
  • Cinebench R23マルチコア(Minisforumの数値): 38,178対36,650、約4%
  • Qwen3.5-122B Q4_K_M(Minisforumの数値): 1台で約27 tok/s対約25 tok/s
  • DeepSeek V4 Flash 284B Q4(約144GB、Minisforumの数値): P495は1台で読み込めて約12 tok/s。395は1台に収まらず、2ノードが必要で約9 tok/s
  • 持続電力プロファイル: P495のスペックシートではパフォーマンスモードが120W、395のスペックシートでは130Wでした。ピークは160Wのままです

要点は演算性能ではなくメモリです。Zen 5、RDNA 3.5、XDNA 2は395と同じシリコンで、これはAMD Ryzen AI Max 400「Gorgon Halo」解説で取り上げたとおりです。演算性能の向上は1桁台にとどまります。192GBのメモリプールと160GBのVRAM上限により、約144GBの量子化モデルを2ノードのクラスターではなく1台で動かせます。注目すべき理由はそこにあります。

まだわかっていないこと

  • 価格。 発表されていません。EUストアには数字を伏せた「€7???」のサプライズ価格の予告が表示され、USストアは「Price Reveal Coming Soon」としています。Technetbookの見出しは「$7,000超」とし、他のメディアはおよそ€7,000(約$7,600)と推定しています。これらは予告に対する第三者の未確認の読み取りであり、定価ではないと考えてください。参考までに、395搭載のMS-S1 Maxは予約価格$2,299で発売され、現在は128GB/2TBで$3,799で掲載されています。
  • 出荷日。 Tom’s Hardwareの記事公開時点では、販売時期の情報はありませんでした。ストアページではメール登録とDiscordでの予約のみを受け付けています。
  • 独立したベンチマーク。 上記の毎秒トークン数はすべてMinisforumによるものです。社外でP495の実機をテストした人はまだいません。
  • メモリ構成。 公開されているのは192GBのみで、より安価な128GBのPro 495モデルが出るかどうかは、肯定も否定もされていません。
  • N5 Max-P495の詳細。 NASのベイ数、ネットワーク、電源、価格はいずれも公開されていません。

ミニPCにとっての意味

MS-S1 Max-P495は、ミニPCブランドから発表された初の192GBのStrix Haloクラス機であり、ローカルLLMにおける1台あたりの上限をVRAM約96GBから160GBに引き上げます。128GBのEVO-X2やFramework Desktopに120Bクラスのモデルを詰め込んでいる人なら、その余裕のなさを知っているはずです。192GBあれば、Q4の200B超のMoEモデルを1台で扱えます。

帯域の注意点は残ります。256ビットバス上のLPDDR5X-8533はおよそ273GB/sで、NVIDIA DGX Sparkと同クラスです。そのため、どれだけメモリを積んでも、非常に大きなモデルのトークン生成は毎秒10トークン台前半にとどまります。PCIeスロットは依然として電気的にx4で、そこに挿す単体GPUで得られる性能には上限があります。GMKtec、Beelink、Frameworkも独自のRyzen AI Max+ 495リフレッシュ版で後に続くと見られ、そのすべてに同じ価格の問題がつきまとうはずです。

読者が考慮すべきブランドの経歴

中立的なスペックの整理は、推奨ではありません。本機が置き換える395搭載機についてはMinisforum MS-S1 Maxレビューで取り上げており、その筐体で測定された弱点をまとめています。また、Minisforumの保証とアフターサービスの対応実績は、サポートの無反応パターンの記事に記録しています。$7,000を超えそうな価格であれば、どちらも判断材料に含めるべきです。

今後のスケジュールと価格の見通し

価格も出荷日も発表されていません。EUの予告は7で始まる4桁のユーロ価格を示唆しており、これは現行の128GB版MS-S1 Maxのおよそ2倍で、DGX Sparkクラスのマシン2台分の価格帯です。実機が出荷され、独立した数値が出そろった時点でレビューします。関連記事:MS-S1 Max-P495の価格情報、Ryzen AI Max+ PRO 495は買う価値があるかの分析。

情報源と注意事項

スペックは、MinisforumのIFA 2026プレスリリースとMS-S1 Max-P495のストア掲載情報に基づいており、主要な数値はTom’s Hardware(Jowi Morales、2026年9月4日)とHotHardware(Paul Lilly、2026年9月5日)で独立に確認しています。395のベースラインは、MinisforumのMS-S1 Max掲載情報とLiliputingの発売時の記事に基づいています。1点、食い違いがあります。Tom’s HardwareとMinisforumのEU掲載情報は、どちらもP495機を「Radeon 8060S」としています。AMDのRyzen AI Max+ Pro 495が搭載するのはRadeon 8065Sで、USストアページとHotHardwareもそう記載しているため、本記事ではそちらを採用しました。性能値はすべてメーカー提供のもので、検証されていません。